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院長が日々診療するうちに思う雑感を記す矯正コラムです。

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「負担の少ない治療」を希望される親御さんへ

負担の少ないお子さまの矯正治療

お子さんの矯正相談に来られる親御さんから「本人に負担の少ない治療を希望します」「負担の少ない装置でお願いします」と要望されることがあります。矯正治療は装置の装着やブラッシングなどご本人の協力がどうしても必要になります。たとえ取り外し可能な装置であれ、取り外しできない固定式の装置であれ、今まで存在しなかった物を口の中に着ける以上、身体的にも精神的にも何らかの負担になってしまいます。では「負担の少ない治療、負担の少ない装置」とは何なのでしょうか?今回は「治療の負担」についてお話したいと思います。

一概に「お子さんの負担」と言いますが、具体的には負担が少ないとはどういうことでしょうか?一般的に考えられることを挙げてみると、

 

少ないお子さんへの負担多い
短い 治療期間 長い
できる 装置の取り外し できない
少ない 痛みや異和感 多い
短い 装着時間 長い
外から見えない 装置の見た目 外から見える
小さい 装置の大きさ 大きい
シンプル 装置の形態 複雑
必要ない 抜歯 必要
しやすい 歯磨き しにくい

 

といった感じになると思います。

外から見えない取り外しの装置でなおかつ痛みが少なく、シンプルで小さく装着時間が短く、抜歯も必要なく歯磨きも楽で、全体の治療期間も短い装置が仮にあれば夢のようですが、残念ながら現実にはそのような装置は存在しません。どんな装置であれ矯正治療をするということは、何らかの負担がかかるということになります。

こここで考えないといけないことは、上記の表の左側になればなるほど、治療効果が少なくなる可能性があるということです。例えば、固定式の装置と取り外しの装置を比べると、固定式の方が確実に歯に力をかけることができるため、治療効果が出やすく、治療結果も予測しやすくなります。装着時間が短ければ、当然それだけ装置の効果が発揮できる時間が短くなりますし、外している時間が長いと歯が後戻りしてしまう原因にもなります。抜歯が必要な患者さんを無理やり非抜歯で治療すると、咬み合わせがうまく合わなかったり、出っ歯が治らなかったり、口元が出てしまったりと別の問題が引き起こされる可能性もあります。

できるだけ負担の少ない装置を選んだ結果、装置を着けているにも関わらず治療効果があまり出ず、結局治療期間が長くなってしまったり、うまくいけば歯を抜かなくて済んだはずが結局抜歯が必要になったり、きっちり治療すればオペを避けることができたはずが、オペを避けられず外科矯正が必要になったり、年齢が小さい時期の一期治療は短くなっても、代わりに大きくなってからの二期治療が複雑になったりといったことは十分起こりえます。もし仮にこうなってしまった時に、本当にお子さんにとって「負担が少ない治療」と言えるでしょうか?

お子さんのへの負担が少なく、効果がとても高い治療法や装置があれば、当然その方法をご説明いたしますし、お勧めいたします。しかし、そんな魔法のような治療法はなかなか無いのが現実です。矯正装置には色々な種類の装置があり、中には複雑な装置や大きな装置も存在します。そういった装置が必要になるのは、他では代替できないその装置特有の効果であったり、治療のタイミングや治療効果としてどうしてもその装置が必要になる場面があるからです。

元の子もないことを言うようですが、最も負担が少ないのは治療をしないことです。お子さんの負担を少なくすることはいつも考えていますし、言うまでもなくとても大切なことです。しかし負担を減らすことばかりにとらわれてしまうと、せっかく装置をしてもあまり改善せず、到達できたはずの治療目標を変更せざるを得なくなることになりかねません。せっかく頑張った装置が効果がなく、頑張りが無駄になってしまったら、後々精神的にショックを受けることもありえます。中途半端に治療することが、結局はお子さんに一番大きな負担を強いることになると私は思っています。「治療をするのであればする、しないのであればしない」ということが大事と思います。

2026月06月04日

院長 大西 秀威