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院長が日々診療するうちに思う雑感を記す矯正コラムです。

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マウスピース型矯正装置(インビザライン)はどこで治療しても同じなの?

クリンチェック

新年明けましておめでとうございます。

今年で当院は診療所が北阪急ビル3Fから2Fに移転して丸10年になります。月日が経つのは、早いものです。今年もより良い治療結果を出せるように矯正治療に邁進していきたいと思いますので、引き続き大西矯正歯科クリニック並びにこのコラムをよろしくお願いいたします。

当院では最近マウスピース型矯正装置(インビザライン)を選択される患者さんが増えています。マウスピース型矯正装置(インビザライン)はマウスピースを毎日着けることによって歯が動いていきます。マウスピースを着けるだけだったら、どの医院で治療しても同じじゃないかと思われる方がおられるかもしれません。今回はインビザラインの治療についてお話したいと思います。

マウスピース型矯正装置(インビザライン)の治療では、マウスピースを作製するためにまず患者さんの歯並びを3次元的にスキャンして、コンピューター上に歯並びや咬み合わせを再現します。従来は歯の型取りを行っていましたが、シリコン印象という精密な型取りが必要で、患者さんのご負担が大変大きいものでした。当院では昨年から口腔内3Dスキャナー(iTero element)を導入しましたので、型取りの必要がなくなり、患者さんのご負担が少なく、より精密な3Dデータを採得することができるようになりました。

スキャンした3Dデータをマウスピーストレー(アライナーと言います)を作製しているアメリカのアライン社に送ります。アライン社でその3Dデータを基に治療後の状態を予測したシュミレーションが作成されます。シュミレーションに問題なければ、アライン社でアライナーが作成され、医院まで届けられるということになります。

ところが、このシュミレーションというのが少し曲者で、基本的にアライン社では患者さんの歯並びや咬み合わせを基に理想的に歯を動かせばこうなるというシュミレーションを作ってきます。しかし、患者さんの歯の位置や角度、骨の量や厚みなどによっては理想的な歯の移動ができない場合もありますし、時には思いもよらない歯の動きになっている場合もあります。そうすると、実際にはアライン社が作成したシュミレーション通りには歯が動かず、上手く治らないということが出てきてしまいます。

これを避けるためにクリンチェックと呼ばれるプログラムを使用して、アライン社から送られてきたシュミレーションを基に歯の動かし方などを修正していきます。マウスピース型矯正装置(インビザライン)での治療の肝は、どのような治療ゴールを設定し、それに合わせて歯の動きを予測するとともに、不確実な歯の動きをなくしスムーズに歯が動くシュミレーションを作成していけるかにかかっています。このシュミレーションをどれだけ作り込んでいけるかによって、自ずと治療結果は変わってきます。

今まで多くの矯正医はブラケットとワイヤーで治療してきました。ワイヤータイプのマルチブラケット装置で治療してきた経験や技術、知識を基にしてシュミレーションを作成していきますので、そのシュミレーションは各医院、各先生によって変わってきます。100人の先生がいれば、100通りのシュミレーションができあがると思います。マウスピース型矯正装置(インビザライン)はマウスピースをただはめておくだけのようですが、どの医院で治療しても同じというわけではないんです。

※マウスピース型矯正装置(インビザライン)は完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。

2018月01月08日

院長 大西 秀威