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院長が日々診療するうちに思う雑感を記す矯正コラムです。

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子供の矯正治療は大きくなってからでも大丈夫?【前編】

小児矯正お子さんの矯正治療をお考えの親御さんの中には、矯正治療をさせようとは思っているけど、今すぐ始めた方がいいのか、大きくなってからでもいいのかと迷われている方もおられることと思います。今回は小児の矯正治療のタイミングとそのメリット・デメリットについてお話したいと思います。

子供の矯正治療と大人の矯正治療で最も異なるのは、成長があるかないかです。子供には大人と違って成長があることによって、治療上の様々なメリットがあります。子供の頃から矯正治療を開始するメリットをまとめると、以下のようになります。 小児矯正のメリット

  • 成長をコントロールすることにより、上下の顎のバランスを整えやすい。
  • 奥歯の咬み合わせを正常に合わせやすい。
  • 咀嚼や嚥下、呼吸、舌の位置、姿勢、態癖など機能の改善を行いやすい。
  • 多くの場合で、小臼歯抜歯や外科矯正を避けることができる(ただし、必ず避けられるわけではありません。シビアな症例の場合、抜歯や外科矯正を前提として治療することもあります)。
  • 二期治療の治療期間を短くできる、あるいは必要なくなる場合もあります。
  • 治療の選択肢が多い。
  • 大人に比べ、装置に慣れるのが早い。
  • 大きくなってから矯正を開始するより安定性がよい。

子供の矯正治療の場合、成長を利用して歯並びを広げたり、上下の顎のバランスを整えることにより、多くのケースで歯を抜かずに治療したり、外科矯正を避けることができるようになります(あまりにもガタガタの量が大きい場合や、顎のズレが大きい場合は、どうしても抜歯や外科矯正を避けることができないこともあります)。

子供の矯正治療では、ある装置を使ってあまり効果が出なくても、別の装置に切り替えることにより、いい効果が出たりすることがよくあります。またある装置では協力が得られず治療が上手くいかなかった場合でも、違う装置に変更することにより、治療がスムーズに進むといったこともあります。そういったことが可能なのも、子供には成長があり適応力が大きいためで、治療の幅や選択肢が多くなります。矯正治療するのであれば、やはり成長のある子供の時期から治療を開始した方がメリットは大きいと思います。

しかし、逆に言うと骨格や奥歯の咬み合わせ、呼吸、舌の位置などの機能的な問題がなく、前歯の軽度のガタガタや歯と歯の間の隙間などの問題だけであれば、子供の時に治療を開始しなくても、大きくなってから治療しても大丈夫だと思います。ただし、子供には成長があります。成長によって骨格や奥歯の咬み合わせが変化してしまい、小さい頃は問題なかったのに、大きくなったら問題が出てきたということも珍しいことではありません。例え子供の時期に治療を開始しなかったとしても、咬み合わせなどの定期的な検診やチェックは受けておいた方がいいと思います。

次回は小児矯正のデメリットについてお話したいと思います。  

2018月05月31日

院長 大西 秀威