Column

院長が日々診療するうちに思う雑感を記す矯正コラムです。

Archive List

マウスピース型矯正装置(インビザライン)にアタッチメントはなぜ必要なの?

アタッチメントがない場合アタッチメントがある場合インビザライン(アタッチメント)

最近当院ではマウスピース型矯正装置(インビザライン)で治療される患者さんが増えています。マウスピース型矯正装置(インビザライン)は取り外し可能なマウスピース型矯正装置ですが、マウスピースをはめているだけで歯並びが綺麗になると思われている方がおられるかもしれません。マウスピース型矯正装置(インビザライン)で治療する際には、歯並びにそのままマウスピースを装着するわけではなく、歯にアタッチメントと呼ばれる突起を着ける必要があります。今回はなぜアタッチメントをつける必要があるのかについて説明したいと思います。

マウスピース型矯正装置(インビザライン)で歯が動く原理はどうなっているのかというと、現在の歯並びからほんのわずかに動かした状態(約0.2mm程度)のマウスピースを作製し、それをはめることにより歯に力がかかり、マウスピースの設定通りの位置に歯が動きます。歯が動いたら、またその位置からわずかに動かした状態のマウスピースを着けます。それを7~10日間隔で連続的に繰り返すことにより歯を並べていきます。

マウスピースで力をかけていきますが、歯の表面は滑沢でツルツルしているため、歯が動いた時にマウスピースは歯の表面で滑って浮いてしまいます。歯は回転運動を起こしてしまい、歯とマウスピースは合わなくなってしまいます。こういう状態になってしまうと、歯に上手く力がかからないため、正確に歯を動かすことができなくなってしまいます。

歯にアタッチメントと呼ばれる突起を着けることにより、歯とマウスピースの間に機械的な嵌合力が生まれ、歯とマウスピースがしっかりと密着するようになります。歯に力をかけた際に、マウスピースが浮き上がるのを防ぐことができるため、歯を正確にコントロールすることができるようになります。

アタッチメントはねじれや動かす量が多い歯に特に必要になります。元々歯のガタガタがあまりない患者さんではアタッチメントを着ける部位を少なくすることができますが、大抵の患者さんではほとんどの歯に何らかのねじれや凸凹があるため、それだけ多くの歯にアタッチメントを着ける必要があります。アタッチメントを着けると少し違和感がありますが、すぐに慣れてきます。アタッチメントを着けないとマウスピース型矯正装置(インビザライン)では上手く治療することができませんので、ご了承いただきたいと思います。

※マウスピース型矯正装置(インビザライン)は完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。

2017月08月11日

院長 大西 秀威