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院長が日々診療するうちに思う雑感を記す矯正コラムです。

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受け口や開咬を放っとくと、どうなるの?

反対咬合 開咬

前歯が受け口や開咬の方で、このまま放っておいて問題あるのかな、どうなってしまうのかなと不安を感じている方もおられると思います。放っておいて大丈夫かと言われると、放っとかない方がいいですという答えになります。今回はそれはなぜかというお話をしたいと思います。

咬み合わせが受け口や開咬になっている場合、一番の問題は前歯が咬み合っておらず、奥歯だけで咬んでしまっていることです。上下の歯をぐっと咬んだ時に、本来は上下すべての歯が接触し、咬んだ力をすべての歯で満遍なく受け止めるようになっています。受け口や開咬になっていると、前歯が咬み合っていないので、咬む力は奥歯だけで受け止めている状態になっています。そうすると、奥歯1本1本にかかる力の負担が大きくなるため、歯の破折や摩耗が起こりやすくなってしまいます。また強い力が奥歯にかかり続けるため、歯の根への負担が大きくなり、歯茎や歯の周りの骨も弱くなりやすくなります。年齢が若い間は問題は起こりにくいですが、中高年ぐらいの年齢になってくると、歯周病の問題も起こりやすくなるため、ただでさえ歯茎が弱くなりがちで、奥歯が揺れてきたり、歯や根が折れてしまって、奥歯を失ってしまう危険性が高くなります。

もし仮に奥歯が1本ダメになってしまうと、残った奥歯への負担はますます大きくなってしまいます。そうすると、残った歯はさらにダメになりやすくなってしまい、加速度的に奥歯を失ってしまうことになりかねません。ひどくなると、奥歯で全く咬めなくなり、入れ歯やインプラントが必要になってしまいます。

受け口や開咬になっていると、前歯で物を咬み切れないため、食べ物をしっかり咬み砕くことなく飲み込んでしまいます。あまり咬まないまま飲み込んでしまうため丸飲みになりやすく、胃や腸への負担が大きくなり、消化不良を起こしやすくなってしまいます。また、しっかり咬むことがないため、咬む筋肉(咀嚼筋)が発達せず、余計に咬まないまま飲み込んでしまうという悪循環になってしまいます。あまり咬まないままでいると、お子さんの成長発育に影響がでる可能性がありますし、腹痛を起こす原因にもなります。

このように受け口や開咬を放置することは、長い目で見るとやはりよくありません。歯を失ってしまってからでは手遅れです。もしご自身が受け口や開咬であれば、若いうちに矯正治療を受けておいた方がいいですし、もしお子さんが受け口や開咬になりそうであれば、早い目に矯正医にご相談ください。

2016月10月24日

院長 大西 秀威