子供の矯正治療は大きくなってからでも大丈夫?【後編】

小児矯正のデメリット前回のコラムでは小児矯正のメリットについてお話させていただきました。子供の頃から矯正治療を始めると沢山のメリットがあることをご理解いただけたと思います。では小児矯正はいいことばかりかと言うと、残念ながらそうではありません。今回は小児矯正のデメリットについてお話したいと思います。

子供の頃から矯正治療を始めるデメリットをまとめると、以下のようになります。

小児矯正のデメリット

  • 成人から開始するのに比べ、治療期間が長期にわたる。
  • 患者本人に積極性がなく、治療に協力が得られないことがある。
  • カリエスリスクが高まりやすい。
  • 治療への協力度により、治療結果や治療期間が大きく変化する。
  • 成長予測には限界があり、思わぬ顎の成長や形態の変化により、治療方針が大きく変わる場合がある。

子供の頃から治療をスタートする場合、歯並びは永久歯と乳歯が混ざった状態(混合歯列)になっています。混合歯列の状態で歯並びを完全な状態にしても、乳歯は次々に萌え変わっていきます。例え乳歯が真っ直ぐ萌えていたとしても、萌え変わった永久歯が捻じれていたり、斜めになってしまったりすることはよくあります。混合歯列で歯並びをいくら完璧な状態にしても、結局は萌え変わってしまうため、あまり意味がありません。小児矯正では永久歯が萌える隙間を確保する、奥歯の咬み合わせを合わせる、前歯を並べる、上下顎のバランスを整える、不正咬合の原因となる口呼吸や舌の癖、態癖などを改善するなど基礎的な部分の治療を行います(一期治療と言います)。その後はしばらく成長観察を行い、永久歯がすべて萌え揃ってから改めて治療を行います(二期治療と言います)。二期治療ではすべての永久歯をコントロールして、緊密で安定した歯並びを最終的に作っていくことになります。

このように小児矯正では、一期治療と二期治療とに時期を分けて治療することが一般的です。時には一期治療と二期治療の間の経過観察中に思わね成長により、治療計画が変更になったり、装置を追加しないといけないこともあります。子供の矯正治療では成長を利用して治療できる反面、成長で問題が出ないか経過を見ていくことも大切なため、大きくなってから一度に治療を行うよりも治療期間は長くなってしまいます。

小児矯正で最も大きな問題になるのは、患者さん本人に治療へのやる気がなく、協力が得られないことがあることです。大きくなってからであれば、ある程度治療内容を理解し、本人も歯並びを治したいという意識が芽生えるため、協力が得やすく、治療がスムーズに進むことが多いです。しかし、小学校低学年の頃などでは、治療内容をよく理解できず、歯並びを気にするということもあまり無いため、治療への協力を得られにくい傾向にあります。装置をほとんど着けてくれなかったり、歯磨きがいい加減になってしまい、虫歯ができるなどの問題が起こり、治療が上手く進まないことがあります。装置への協力が得られない場合には、装置を取り外しできない固定式に変更したりすることもあります、しかし、あまりに協力が得られなかったり、虫歯が沢山できるようであれば、治療を中断して、精神的に成熟が進んでから治療を再開することもあります。

このように小児矯正には多くのメリットがある反面、デメリットもあります。矯正治療をするのであれば、様々な可能性を秘めた子供の時期から治療を開始した方がメリットは大きいと思いますが、協力が得られず虫歯だらけになってしまうようでは本末転倒です。メリットデメリットをよくお考えの上で、治療のタイミングを考えて頂ければと思います。

2018年6月14日

院長 大西 秀威