子供の歯並びが自然に良くなることはないんです!

歯並び・かみ合わせの異常の推移(小学校)

お子さんの歯並びを気にかけておられる親御さんの中には、相談に行かれた歯科医院で「これから顎が大きくなるから自然に良くなるよ」「成長で変化するからとりあえず様子見ましょう」などと言われた経験がある方もおられるかもしれません。これは果たして本当でしょうか?今回は子供の歯並びが成長で自然と良くなるのかについてお話したいと思います。

上のグラフは、岐阜県の小学校に2002年に入学した児童を対象に、小学校1年生から6年生まで6年間、のべ160名の児童の歯列・咬合状態について追跡調査したものです(小学生における歯列・咬合状態の追跡研究  佐々木 他、口衛誌58,158-167,2008)。この調査は同じ学年の児童を経年的に調査したものなのですが、その結果を見てみると、ほとんどの歯列不正・不正咬合は、学年を経るごとに増加しているのがわかっていただけることと思います。

例えば上顎の前歯にガタガタがある児童は、小学校1年生では0.7%だったのが、小学校6年生では41.4%に、下顎の前歯のガタガタは14.2%だったのが33.8%に、出っ歯は5.2%だったのが、27.1%になっています。歯のガタガタや出っ歯を放置していても、成長によって自然と良くなることどころか歯列不正はどんどん増加してしまうことが分かっていただけると思います。

学年が上がるごとに減少しているのは、前歯の正中(真ん中)の隙間と受け口です。前歯の正中の隙間は、小学校1年生では6.0%で、小学校2年生で28.7%になり、小学校6年生では5.3%になっています。受け口は小学校1年生では5.2%だったのが、小学校6年生では1.5%になっています。

前歯の正中の隙間が2年生で急増しているのは、上顎の前歯が大人の歯に萌え変わるときに、前歯がハの字に開いた状態で萌えてくることが多く、真ん中に隙間ができてしまうことが原因です。これは萌え変わりで良くある現象で、大抵の場合は自然治癒します。しかし、小学校1年生で6.0%で小学校6年生でも5.3%であることを考えると、萌え変わり前後ではほぼ横ばいとも言えます。受け口は経年的にやや減少していますので、自然に治る可能性があるとも言えますが、小学校6年までに自然治癒しなかった場合、外科矯正などの複雑な治療が必要になる可能性が高く、やはり放置するのは適当ではないと考えられます。

お子さんの歯列不正や不正咬合が成長によって自然に良くなることは、無いことが分かっていただけたと思います。自然に良くなる可能性が高いのは、前歯の真ん中の隙間だけで、多くの場合、一旦歯列不正が起こると経年的に悪くなる方向に成長が進んでしまいます。同じ不正咬合を治療する場合でも、小学校1~2年生から始めれば歯を抜かずにすんだのに、小学校5~6年生では歯を抜かないと治療できなくなってしまうこともあります。お子さんに矯正治療を受けさせようか迷われている間に不正咬合が進んでしまい、外科矯正が必要になってしまうこともあります。お子さんの歯並びを気にされている親御さんは、早めに矯正専門医にご相談されることをお勧めいたします。

2017年7月16日

院長 大西 秀威