歯を抜いたあと放置しないで!

両隣の歯が傾斜 反対側の歯が挺出

大きな虫歯やひどい歯周病になったり、歯が弱くなって折れてしまった場合、やむを得ず歯を抜かないといけない場合があります。歯を抜けばとりあえず悪い部分はなくなるので、もう大丈夫とそのまま放置しがちです。しかし、放置していると歯並びが変化して咬み合わせが悪くなる可能性があります。今回は歯を抜いたところを放置しているとなぜいけないかについてお話したいと思います。

歯並びがたとえガタガタしていても、出っ歯や受け口になっていても、通常ある状態で安定しています。歯並びがどのようにして安定しているかというと、周りの歯との位置関係によって、つまり歯が隙間なく並び上下の歯が咬み合った状態で安定を保っています。どういうことかというと、満員電車の中で立っていても周りの人との間に隙間がないので、少々電車が揺れても倒れたりしないのに対し、空いている電車に立っていると電車が揺れた時に倒れそうになるのに似ています。

歯を抜いてそのままにしておくと、両隣の歯は支えを失って隙間に向かって倒れてきてしまいます。長期間放っとくと、歯が倒れて上下の咬み合わせが合わなくなったり、歯並びがすきっ歯になったり、上下の真ん中がずれてきたりします。両隣の歯が倒れてきてしまうと、後でインプラントやブリッジを入れようとしても、隙間が足りずきっちりとした被せ物が入れらない場合や治療できない場合もあります。

歯が抜けると隣の歯との横方向の位置関係だけではなく、上下的な位置関係にも影響を及ぼします。歯が歯茎の中から萌えてきてどうやって伸びるのが止まっているかというと、反対側の歯にぶつかって止まるようになっています。もし何らかの原因で歯を抜いてそのままにしていると、反対側の歯は「歯止め」がなくなってまた萌えようとして伸びてきてしまいます。長期間放っとくと、歯が反対側の歯茎を咬んできたり、左右で歯並びが高さが変わってきたり、伸びてきた歯が干渉を起こしてしまい顎関節症の原因になることもあります。

歯を抜くことになった場合は、その後に両隣や反対側の歯が動いてこないように何らかの対処が必要になります。インプラントやブリッジを入れるというのが最も一般的な方法ですが、矯正治療するというのも選択肢の一つになります。矯正治療で抜いた隙間を完全に閉じることが可能かどうかはわかりませんが、矯正治療に利用できる可能性は十分あります。やむを得ず歯を抜くことになった際は、矯正治療も考慮に入れていただくと良いかと思います。

2017年4月30日

院長 大西 秀威