舌苔は取るのではなく、絶対付かないように!

正常な舌 舌苔

正常な舌位 口呼吸や低位舌

皆さんの中に舌の表面が白かったり黄色くなっている方はおられないでしょうか?これは何かというと舌苔(ぜったい)と呼ばれるもので、舌上皮の乳頭間に細菌や食べカス、粘膜の上皮細胞のカス、汚れなどが付着して、舌表面が苔が生えたように白く変色したように見えるものです。舌苔が付いていると、口の中にある嫌気性細菌が、食べカスや粘膜のカスなどに含まれるタンパク質を分解して、臭い物質である揮発性硫黄化合物を産生することにより、口臭の原因になります。また舌苔が沢山付いている方は、何らかの不正咬合になっていることが非常に多いです。当院に矯正相談に来られる患者さんの中にも、舌苔がついている方が多くおられます。

上記の左側の写真は当院のスタッフの舌の写真で、右側は患者さんの舌の写真です。左側の写真のスタッフは、普段舌苔をこまめに掃除しているわけではありませんが、舌苔はほとんどついていません。それに対し、右側の患者さんでは、舌苔がべっとりついてしまっています。この違いはどうして生まれるのでしょうか?

人がリラックスして力を抜いている時(安静時)、舌の先は左上の図のように上前歯の裏側の少し後ろ側について、舌全体が上顎の天井部分(口蓋と言います)に持ち上がった状態になっています。口蓋と舌は常にくっ付いた状態になっているため、舌は常に唾液で潤った状態になり、舌が口蓋に擦れあうことによって、自然と舌表面の汚れは洗い流されて清潔な状態が保たれます。舌が正常な位置にあれば、この自浄作用により、舌苔はほとんど付くことはありません。

一方、舌苔が付いている方では、安静時に舌の先が下の前歯の裏についていたり(低位舌)、口呼吸をしていることが多く、口蓋と舌が離れてしまっています。そうすると、口蓋と舌が擦れ合うことがないため、自浄作用が働きません。さらに口呼吸になっている場合は、口を開けたまま呼吸しているため、舌表面に唾液が循環せず、乾燥してしまいます。このような状態になっていると、舌表面に付着した汚れは、洗い流されることがないため、舌苔ができてしまいます。

舌の位置が良くないと、歯並びにも悪い影響を与えるため、不正咬合になる可能性が非常に高くなってしまいます。矯正相談に来られる患者さんに、舌苔がついている方が多いのは、必然という訳です。

ただ、舌苔が付く原因は舌の位置だけではありません。舌苔がつく原因として

・口呼吸
・低位舌
・唾液分泌不全
・舌の運動機能低下
・胃腸の消化機能低下
・抗生物質やステロイド剤の長期使用
・溝状舌・黒毛舌

などが挙げられます。比較的年齢の若い方では、口呼吸や低位舌が原因になることが多く、ご高齢の方では、唾液分泌不全や舌の運動機能の低下が原因になることが多いです。

舌苔は細菌繁殖の場となってしまいますし、口臭の原因にもなりますので、舌苔を取ることは大事ですが、舌が正しい位置にあれば、自然と付かないようになります。舌苔を取ることよりも、そもそも付かないようにすることが大切です。舌苔が付きやすい方では、舌の位置や機能になんらかの問題があるとお考えいただいた方がいいと思います。

2016年9月22日

院長 大西 秀威