矯正治療に健康保険が適応されるのはどんな場合?

健康保険適応矯正治療は健康保険適応外で治療費が高額になってしまうからと、治療を躊躇されている方もおられることと思います。日本の健康保険制度は、傷病保険になっていて、疾病や負傷、出産、死亡の場合に保険が適応される制度になっています。なぜ矯正治療に健康保険が適応されないかというと、歯並びが悪いあるいは咬み合わせが良くないというのは、病気ではないと考えられているからです。逆に言うと、厚生労働省が認定している疾病が原因で、歯並びや咬み合わせが悪くなっている場合は、健康保険の適応となります。

矯正治療に健康保険が適応される例としてよく知られているのは、顎変形症(外科矯正)と唇顎口蓋裂(口唇裂、唇顎裂、(軟、硬)口蓋裂、顎口蓋裂、口唇口蓋裂を含む)の場合です。当院でも外科矯正や唇顎口蓋裂の患者さんを沢山治療しています。健康保険が適応されるのは、この2つだけだと思われがちですが、実はそうではありません。平成28年6月現在∗で、健康保険が適応される疾患は以下の通りです。基本的に先天的な形態異常や問題がある場合に、健康保険が適応されます。

1. 顎変形症
2. 唇顎口蓋裂
3. 6歯以上の先天性部分(性)無歯症
4. ゴールデンハー症候群(鰓弓異常症を含む。)
5. 鎖骨・頭蓋骨異形成
6. トリチャーコリンズ症候群
7. ピエールロバン症候群
8. ダウン症候群
9. ラッセルシルバー症候群
10. ターナー症候群
11. ベッグウィズ・ヴィードマン症候群
12. ロンベルグ症候群
13. 先天性ミオパチー(先天性筋ジストロフィーを含む)
14. 顔面半側肥大症
15. エリス・ヴァン・クレベルド症候群
16. 軟骨形成不全症
17. 外胚葉異形成症
18. 神経線維腫症
19. 基底細胞母斑症候群
20. ヌーナン症候群
21. マルファン症候群
22. プラダ-ウィリー症候群
23. 顔面裂
24. 大理石骨病
25. 色素失調症
26. 口―顔―指症候群
27. メービウス症候群
28. カブキ症候群
29. クリッペル・トレノーネイ・ウェーバー症候群
30. ウィリアムズ症候群
31. ビンダー症候群
32. スティックラー症候群
33. 小舌症
34. 頭蓋骨癒合症(クルーゾン症候群、尖頭合指症を含む)
35. 骨形成不全症
36. 口笛顔貌症候群
37. ルビンスタイン-ティビ症候群
38. 常染色体欠失症候群
39. ラーセン症候群
40. 濃化異骨症
41. チャージ症候群
42. マーシャル症候群
43. 成長ホルモン分泌不全性低身長症
44. ポリエックス症候群
45. リング18症候群
46. リンパ管腫
47. 全前脳(胞)症
48. クラインフェルター症候群
49. 偽性低アルドステロン症(ゴードン症候群)
50. ソトス症候群
51. グリコサミノグリカン代謝障害(ムコ多糖症)

外科矯正と唇顎口蓋裂以外で多いのは、3.の「6歯以上の先天性部分(性)無歯症」の患者さんです。あまり知られていないようですが、6本以上の永久歯が生まれつき欠損している場合、矯正治療に健康保険が適応されます。他院では健康保険適応外と言われて来院され、当院で健康保険で治療している患者さんもおられます。もし当てはまる疾病をお持ちの方がおられましたら、矯正専門医にぜひご相談ください。

∗矯正治療に健康保険が適応される疾患は、保険改正時に追加・変更されることがあります。

2016年6月26日

院長 大西 秀威