自分の経験から感じた治療中の苦労と喜び【前編】

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皆さんの中には歯並びは綺麗にしたいけど、「矯正治療は痛いんじゃないかな」とか「目立つのが嫌だな」と治療するのを躊躇されている方もおられると思います。院長プロフィールのページにも書いていますが、かつて私自身が歯科矯正の患者でした。私が矯正治療を受けていたのは、高校生から大学生の頃です。治療を担当してもらった先生は、当院の前院長すなわち私の父親です。というか、父親に言われて、無理やり矯正させられたという方が正しいです(笑)私が矯正治療を受けていたのはもう20年以上前になりますが、今ほど装置やシステムが発達しておらず、いろいろと苦労がありました。今回はその苦労や矯正後の喜びについて書いてみたいと思います。

私が矯正治療を始めたのは、高校1年のときでした。私の元々の歯並びは、上の犬歯が外側に飛び出していて、隣の2番目の歯(側切歯)が内側に入っていて、典型的な八重歯の状態でした。側切歯が中に入っていたため、歯磨きが大変しにくく、側切歯がいつも茶色く着色していたのをよく覚えています。父親に言われ矯正治療を開始したのですが、歯のガタガタを治す隙間を作るため、上下の小臼歯を4本抜きました。また下の親知らずが両方とも横に倒れて歯茎の中に埋まったままになっていたため、上下の親知らずも4本抜きました。その当時、セルフライゲーションブラケットのようなものはありませんでしたので、昔ながらの金属のブラケットをつけていました。 

装置をつけて最初の苦労は、やはり歯の痛みでした。確か高校の帰りに医院に行って装置をつけたのですが、その夜から痛みが出てきました。痛みを一番感じたのは、ご飯を食べたときでした。それまでと同じようにご飯を食べようとしたところ、咬んだところの歯が激痛に襲われました。痛くてそれまでと同じようにご飯を食べることはできなかったので、ゆっくりゆっくり咬んでご飯を食べていたのをよく覚えています。その痛みは3~4日続きましたが、徐々に無くなっていき、1週間もすると痛みはすっかり無くなり、何でも咬めるようになりました。今ではセルフライゲーションブラケットや矯正用ワイヤーの進化もあり、このように痛みが出ることはかなり少なくなりました。最近では患者さんからほとんど痛みを感じなかったと言われることも多く、私が治療を受けていた頃とは隔世の感があります。

苦労してご飯を食べ終わって、次に襲ってきたのは歯磨きの苦労でした。ご飯を食べ終わると、装置と装置の間という間に食べかすがつまり、歯ブラシを上手く使うこともできなかったため、歯磨きがすごく大変で時間がかかりました。強く磨くと歯が押されて痛みがでるなど、本当に大変でした。歯磨きが大変なのは、残念ながら現在も変わっていませんが、歯ブラシやブラッシングツールの進化によって、かつてほど苦労しなくてもよくなってきています。私が矯正治療を受けていた頃は、歯磨きに歯ブラシしか使用していませんでしたが、現在ではワンタフトブラシや歯間ブラシ矯正用フロスを必ず一緒に使用していただくように説明しています。歯ブラシとこれらのブラッシングツールを併用していただくことにより、効率的に隅々までブラッシングすることができます。

次に苦労した記憶があるのは、ヘッドギアという装置でした。ヘッドギアという装置は映画「ファインディング・ニモ」で「ダーラ」という女の子がつけていた装置です。この装置は頭や首からネックストラップというバネのついたバンドをつけ、上顎の奥歯の装置に差し込んだインナーボウという金属装置を介して、奥歯を後に動かしたり、奥歯が歯を抜いた隙間にずれてこないようにするための装置です。ヘッドギアは取り外し可能な装置で、就寝時や家にいるときに毎日装着します。ヘッドギアは、装置が大きく寝辛い上に、奥歯に力がかかるため痛みがあり、頭や首から装置をつけるため朝起きると髪にストラップのあとがつき、学校に行く前に髪型を整えるのが大変だったのをよく覚えています。ヘッドギアは、小学生ぐらいの子供さんの矯正治療では、現在でもよく使用している装置ですが、ミニスクリューの登場や装置の進化により、大人の方ではほとんど使用することは無くなりました。ミニスクリューなどの矯正用インプラントの登場は、それまでの理論や理屈を吹っ飛ばしてしまうような、エポックメイキングな出来事の一つだと思います。ヘッドギアを毎日する苦労から開放されるだけでも、矯正治療はずいぶんと楽になりました。

この続きはまた次回に

2013年11月17日

院長 大西 秀威