歯と歯の間の隙間(ブラックトライアングル)はなぜできるの?

治療前ブラックトライアングル

矯正治療をすると、歯並びは綺麗に並んで歯と歯はぴったりとくっついているのに、歯と歯の間に隙間ができることがあります。これをブラックトライアングルといいます。以前のコラム「矯正治療に伴うリスクと注意点」でもお話しいたしましたが、ブラックトライアングルは矯正治療で起こりうる問題の一つです。では、なぜ矯正治療でブラックトライアングルができるのでしょうか?

矯正治療する前の歯並びがガタガタの状態のとき、歯はお互いに重なり合っていて、歯と歯の間は非常に狭くなっています。歯と歯の間には、食べかすやプラークがたまりやすく、ブラッシングがしにくいため、歯茎は炎症を起こして腫れていることがよくあります。炎症があまりない場合でも、歯と歯に挟まれて、歯茎は盛り上がったようになっています。歯と歯の間には隙間はなく、一見歯茎には問題がないように見えます。しかし、歯と歯の隙間は非常に狭くなっているため、歯茎の中の骨(歯槽骨といいます)は非常に薄くなっているかほとんど無くなってしまっています。

矯正治療をすると、歯や歯の根が綺麗に並ぶため歯と歯の間の隙間に余裕ができます。またブラッシングがしやすくなるため、盛り上がっていた歯茎が平らになって、引き締まってきます。歯茎が引き締まることは決して悪いことではないのですが、元々歯と歯の間の骨が薄く、その高さが低くなっているため、骨の高さに合わせて歯茎も下がってしまいます。その結果として、歯と歯の間に隙間ができたようになってしまうのです。

歯並びが綺麗に並んだことにより、見た目にには歯茎が下がったように見えてしまいます。歯と歯の間に食べかすやプラークがつまりやすくなるため、一見不健康な歯茎になったような気がしてしまいます。しかし、歯茎の状態としては、健康な本来の状態に戻っただけなのです。

歯茎の高さというのは、基本的には歯茎の中の歯槽骨の高さで決まります。10代から20代前半ぐらいまではあまり問題にならないことが多いですが、20代後半から30代、40代以上になると、歯槽骨の高さは徐々に低くなってきてしまいます。また、ブラッシングがうまくできていないと、歯茎に炎症を起こし、歯槽骨の低下を招いてしまいます。いわゆる歯周病の状態です。そのため、20代後半以上の方やブラッシングがうまくできていなかった方が矯正治療を受けると、ブラックトライアングルができやすくなってしまうのです。

このように矯正治療によりブラックトライアングルができてしまうことは、治療上のリスクではありますが、いわば必要悪というもので異常なことでは決してありません。一度低下してしまった骨の高さを完全に元に戻すことは、現在のところ非常に困難で、ブラックトライアングルにならないようにする確実な手立てはありません。

しかし、セルフライゲーションブラケットなど弱い力で治療可能な歯茎に優しい装置を使用することにより、必要以上に歯茎が低下することを防ぐことは可能です。またブラッシングを丁寧に行い、プラークを極力残さないようにして、歯や歯茎を清潔に保つことが何より大切です。お口の中を清潔に保つことが、それ以上の歯茎の低下を防ぐことにつながりますので、たとえブラックトライアングルが出来ても、最小限に済ませることができます。

では、矯正治療でブラックトライアングルが出来たときは、どのように対処するのかは次回のコラムでお話したいと思います。

2013年4月14日

院長 大西 秀威