「日本人は歯並びが悪い」76%

テレビや雑誌などを見ていると、歯並びの悪い芸能人は昔に比べると少なくなってきているなあと僕は感じていました。日本人も歯並びに対する意識が高まってきているのかなと喜んでいたのですが、最近巷では、八重歯がかわいいとのことで付け八重歯なるものがマスコミに取り上げられています。パーティグッズのように一時的に歯に取り付けるものではなく、歯科医院でしっかりとセメントで歯に取り付けるものです。
日本人の歯並びへの意識もまだまだかとがっかりしました。こんな歯本来の形態と機能を無視したものを、れっきとした歯科医師が患者様にとりつけているなんて私には到底理解できません。
今年の4月、歯並びに関する興味深い調査結果が発表されましたので、ご紹介したいと思います。

2012年3月、歯科矯正関係のある業者が、日本に住む外国人100名を対象に、日本人の歯並びについて意識調査を実施しました。その結果は驚くべきもので、76%と多くの外国人が日本人の歯並びを悪いと感じていました。
また、同時期(2012年3月)に行われた日本(東京)、アメリカ(ニューヨーク)、中国(上海)の一般男女600名(各国200名)対象のアンケート調査を比較すると、
歯並びが悪い人の治療率:米国50.0% > 中国23.8% > 日本21.3%
歯科医への相談経験:中国74.5% > 米国67.5% > 日本23.5%
となっており、日本人の歯並びを治療する率や治療への意識がかなり低いことがわかります。

しかし、日本人が歯並びそのものへの意識が低いのかというとそうでもないようです。「歯並びは笑顔の印象を左右する」と考える人は、日本85.0%、米国89.0%、中国90.5%となっており、「歯並びは口腔内の健康に影響する」と考える人も日本73.5%、米国71.0%、中国70.0%とそれぞれの国(都市)で大きな差はありません。

それではなぜ治療する率に大きな差が生まれてしまうのかというと、矯正治療に対する意識が、
「歯並びが良くなって、うれしい」と考える人:米国76.0%、中国63.5%
「装置による不自由で、つらい」と考える人:日本63.0%
このように日本人は矯正治療に対してネガティブなイメージを持っていることがわかります。
矯正治療を嫌がる理由としては、「装置をつけることに抵抗がある」:72.0%、「目立たない装置があれば治療したい」:65.0%というように、やはり見た目が気になるのが一番のようです。
見た目が気になる方には当院でも裏側(舌側、リンガル)矯正を行っていますが、裏側矯正の認知度は、中国72.0% > 米国56.5% > 日本25.5%と日本が断トツで低くなっています。
矯正治療が一種のステータスになっており、矯正装置に対するネガティブな意識があまりなく、裏側矯正が少ないアメリカと比較しても、日本人の裏側矯正の認知度がかなり低いことには驚きました。まだまだわれわれ矯正医の啓蒙・努力が足りないんだなあって思います。

歯並びは見た目だけではなく、お口のなかの衛生環境、かみ合わせや顎の運動などの機能、ひいては体全体や精神面の健康にまで影響を及ぼします。先進国であり、平均寿命も世界一、二位を争うほど健康志向の強い日本で、歯並びだけはガタガタでも治療しないで大丈夫というのはちょっとおかしなことだと思います。
もし体に異変があったら、病院に行って治療してもらおうとみなさん思われると思います。 歯といえでも立派な体の一部、臓器です。歯が本来もつ機能をしっかり果たせるように矯正装置をつけることは、なんら恥ずかしいことではありません。骨折したときに入院してギブスをつけるのと同じで、正しい歯並びに戻すだけなのですから。

現状、矯正治療は治療中の痛みがあったり、ブラッシングがしにくかったりと少なからずつらいことがあることも確かです。しかし、装置や器具の発達により僕が矯正治療を受けていた頃に比べるとその苦労もずいぶんと改善されてきています。また、治療後の見た目やその達成感、ブラッシングのしやすさなどその喜びは他に変えがたいものがあります。矯正治療経験者の僕が言うのですから間違いありません。
その喜びを一人でも多くの方に経験してもらえるように、これからも努力していかなければと思います

2012年6月4日

院長 大西 秀威